家族の加入について
健康保険では、被保険者だけでなく、被保険者に扶養されている家族にも保険給付を行います。この家族のことを「被扶養者」といいます。被扶養者として認定されるためには、「国内居住」のうえ、「家族の範囲」と「収入」について一定の条件を満たしている必要があります。
- POINT
-
- 被扶養者となるためには、健康保険組合の認定を受けなければなりません。
- 被扶養者の異動があった場合は、5日以内に勤務先の担当部署に届出をしてください。
※認定の日は、その事実発生日より30日を過ぎて届け出た場合、当健康保険組合の書類受付日となります。
家族の範囲
被扶養者となれる家族の範囲は、三親等内の親族と決められています。さらに、同居・別居により、条件が異なります。
- ※厚生労働省の通達によれば「年齢が16歳以上60歳未満の者については、特に厳格に取り扱うこと」とあります。これは、16歳以上60歳未満の就労可能な年齢にあり、被保険者の経済的支援がなくても自立して生活できる年齢とされているからです。
当健康保険組合では、この通達に基づき、通常就労して生計を立てることができる年齢を18歳以上60歳未満とし、特別な事情なく健常で就労できる状態にあれば、原則扶養に入れません。
このため、被扶養者になるためには書類の提出により就労ができない状態であることを証明することが必要です。
収入の基準
被扶養者となるためには、「主として被保険者の収入によって生活していること」が必要です。具体的には、次の収入基準を満たしていることが必要です。
- ※収入とは、課税・非課税を問わずすべての総収入(税引き前の全額)をいいます。
収入基準
同居している場合 | 対象者の年収が認定基準額130万円(月額は108,334円)未満で、被保険者の収入の2分の1未満であること。
|
---|---|
別居している場合 | 対象者の年収が認定基準額130万円(月額は108,334円)未満で、その額が被保険者からの仕送額より少なく、かつ、月額4万円以上(対象者一人あたり)を仕送りしていること。
|
- ※上記収入基準を満たすほか、対象者の生活費のほとんど(半分以上)を被保険者が主として負担していることが必要です。
また、被保険者の収入や対象者の生活費、同居人等、個々の実情を詳細に審査のうえ認定可否を判断します。
なお、年間(1月~12月)の収入が認定基準額を超えた場合は、超えた月の初日を以て被扶養者資格を喪失します。
- ※年間収入の適用期間は、原則「毎年1月~12月」です。
ただし、認定した年に限り適用期間は「認定日~認定した年の12月」とし、翌年以降の適用期間は「毎年1月~12月」です。
なお、雇用契約の変更や就職や離職等により、今後恒常的に収入増加や減少が見込まれる場合は、その事実発生日以降1年間の収入見込額を試算し認定や被扶養者資格喪失を判断します。
当該理由により資格喪失した場合で、喪失日の翌年以降に①または②に該当する場合は、申請をもって再認定できます。
- ①【給与収入者、年金収入者】
申請月の直近3ヵ月間における各月の収入がいずれも108,334円未満(60歳以上または障害者は150,000円未満)の場合は、申請月の初日から認定。 - ②【①以外の収入者(自営業者等)】
申請月の直近1年間の収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)の場合は、申請月の初日から認定。
- ※認定の事実発生日から30日を過ぎて届け出た場合の認定日は、当健保組合の書類受付日となります。
収入変動に伴う被扶養者の認定または資格喪失の事例集
対象者の収入変動(増加や減少)に伴い被扶養者認定となる事例と被扶養者資格喪失となる主な事例をご紹介します。
「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)
「年収の壁」とは
「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する基準となる年収額のことです。
健康保険等の被扶養者がパートタイマー等で働き、年収が一定以上になると、被扶養者ではいられなくなり、健康保険や国民健康保険等の被保険者となりますが、そうなると社会保険料の負担が発生して、結果として手取り収入が減少する場合があります。
社会保険における「年収の壁」は、企業規模の違い等により、年収106万円と年収130万円の2つがあります。
(出典:「年収の壁」への当面の対応策(厚生労働省))
年収106万円の壁 | 従業員51人以上の企業、賃金月額88,000円以上(年収:約106万円以上)等、一定の条件を満たす場合は、社会保険料が発生。 |
---|---|
年収130万円(※)の壁 | 被扶養者の認定基準を満たさなくなるため、条件を問わず、社会保険料が発生。 |
- ※60歳以上または障害者は180万円
年収130万円の壁に対する対応
被扶養者認定は前年の課税証明書等の確認で行われていますが、人手不足による労働時間延長等に伴い一時的に年収が130万円以上となる場合は、事業主の証明を添付することにより、収入見込額が130万円以上であっても、引き続き被扶養者の認定を受けることができるようになります。
(同一の者について原則として連続2回までを上限とします)
被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書
年収106万円の壁に対する対応
社会保険適用促進手当(※)の支給等、労働者の収入を増加させる支援を行った企業に対して一定期間助成が行われます。
※社会保険適用促進手当
短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合、当該労働者の保険料負担を軽減するために支給することができる手当です。
社会保険適用促進手当は、給与・賞与とは別に支給するものとし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定対象に考慮しないこととされます。
- ※対象者:標準報酬月額が10.4万円以下の方。
- ※報酬から除外する手当の上限額:被用者保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額。
- ※最大2年間の措置。
被扶養者認定における国内居住要件の追加について
2020年4月より、健康保険の被扶養者認定の要件に、国内居住要件が追加されました。日本国内に住所を有していない場合、2020年4月1日以降は、原則として被扶養者の認定はされません。(海外留学等、一定の例外あり)
国内居住要件の考え方について
住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます。
- ※住民票が日本国内にあっても、海外で就労している等、明らかに日本での居住実態がないことが判明した場合は、国内居住要件を満たさないと判断されます。
国内居住要件の例外
外国に一時的に留学している学生等、海外居住であっても日本国内に生活の基礎があると認められる場合は、例外として国内居住要件を満たすこととされます。
【国内居住要件の例外となる場合】
- ① 外国において留学をする学生
- ② 外国に赴任する被保険者に同行する者
- ③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
- ④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
- ⑤ ①から④までに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
国内居住者であっても、被扶養者と認められない場合
医療滞在ビザで来日した方、観光・保養を目的としたロングステイビザで来日した方については、国内居住であっても被扶養者として認定されません。
被扶養者の異動(変更)があったら
結婚や出産などにより被扶養者が増えたときや、就職や別居、死亡などで、それまで被扶養者に認定されていた家族が被扶養者の認定基準を満たさなくなった場合は手続きが必要です。なお、当組合では毎年、被扶養者の資格を確認するための検認を行っています。